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工場内の緑地へようこそ!大人も子どもも楽しめる自然体感イベント「Love! Green Day」

国内外に多くの拠点を持つ東レは、そこに暮らす人・働く人とより良いパートナーシップを築き、周辺地域の豊かな自然環境を守りながら企業活動を続けています。
また、地域社会には、地理的な特徴や歴史的な成り立ちなど、それぞれに“個性”や“らしさ”があり、私たち東レもそれを理解し大切にしています。

以前noteでもご紹介した東レ東海工場は、知多半島の臨海工業地帯における自然共生・生物多様性保全の取り組みに積極的に参画し、社会貢献を意識した活動を展開しています。

東レの将来世代に向けた取り組みを紹介する連載「紡ぐ、明日へ」として、今回ご紹介するのは、9月末に開催されたイベント「Love! Green Day 2024」。「命をつなぐPROJECT*」の一環として、知多半島グリーンベルトを舞台に自然と触れ合うことの楽しさを多くのみなさんに知ってもらおうというイベントです。参加対象は愛知県にお住まいの方(東海市・知多市・半田市などが中心)で、普段は立ち入ることのできない企業緑地を見学しながら、さまざまな参加型プログラムを体験していただきます。見学コースはいくつかあり、複数の企業が協力。東レ東海工場も、連携企業の一員としてイベント運営に協力しました。

イベントの舞台となる“知多半島グリーンベルト”とは、いったい何でしょうか…?まずはそれを知るところからイベントは始まります。

*命をつなぐPROJECT:知多半島臨海部の企業緑地群をおもな活動拠点とし、生態系ネットワーク形成と次世代の担い手育成を目指すプロジェクト。愛知県管掌モデル事業として2011年に発足した。学生組織を中心に、12社の企業と行政、NPO、専門家が協働し、企業緑地の生物多様性向上、地域住民の環境啓発などのさまざまな活動に取り組んでいる。

工場側の受け入れリーダーを務めるのは東レ東海工場 総務課 村松良晃さん。「知多半島では、各社各工場で自然や生き物を大切に育てるという取り組みをしています。今日は短い時間ですが、自然と生き物に触れて楽しんでいただければと思います」とあいさつ。



数十年前は陸地ではなく海だった!? 地域の特性をみんなで知ろう

「私たちがいる臨海部の陸地はなんと、数十年前には海だった場所です。およそ半世紀前の高度経済成長期、このあたりの海を計画的に埋め立てて、工場をたくさん作りました。それがこの土地の成り立ちです。今では、数十社の工場が連なる工業地帯となっています」

イベントを進行するのは「命をつなぐPROJECT学生実行委員会」。まずは臨海工業地帯の成り立ちについて、みんなで学びます。ここ東レ東海工場は、知多半島臨海工業地帯の北端部に位置しています。

イベント参加者は近隣地域に住む親子が多く、子どもたちはみんな10歳以下。ちょっと難しいかもしれませんが…、頑張って聞いています。

知多半島グリーンベルトは、自然共生サイト(環境省)の認定を取得しています。
写真提供:NPO法人 日本エコロジスト支援協会

“グリーンベルト”とは、この知多半島臨海部に工業地帯ができた頃から、工場と住宅地を分けるために設置されている企業緑地のこと。今では約10kmにわたる緑地帯となっています。

緑地ができた頃は、完成を急ぐあまり早く育つ木々を優先して植えていましたが、時がたつにつれ、木々がどんどん育ち、手入れが行き届かなくなっていきました。結果的に、生き物たちにとっては少し暮らしづらい緑地となっていったのです。このまま放っておいてはいけないと誕生したのが「命をつなぐPROJECT」です。

企業ごとの敷地という枠を超えて、みんなで協力しながら、知多半島のグリーンベルトを一つの大きな緑地帯ととらえて、もっと素敵な環境に整えていこうと取り組みをはじめました。企業はもちろん、行政やNPO、学生、大学教授や専門家など、たくさんの人が協力して、このプロジェクトを進めています。

約20分のバスツアー。東レ東海工場はこんなところ

工場内バスツアーの案内役は、東レ東海工場 環境保安課 速水悟さん

臨海工業地帯やグリーンベルトについて学んだら、バスに乗って工場内を一周します。

「東レ東海工場は、製品のもとになる原料を作っている工場です。分かりやすく言うと、液体やつぶつぶのチップのようなものを作っています。お盆休みや年末年始も関係なく、基本的に年中、24時間動いている工場です」と速水さん。

東レ専用の港(プライベートバース)の見学も。大きな船もよく見え、子どもたちからは「きれーい!」「かっこいいー!」という声も聞こえました。

工場で扱う原料などの量は非常に多いため、船で運び、このプライベートバースから受け入れています。

その後、工場内の複数の建物や、船から原料を受け入れる大きなタンクなどをバスの中から見て工場ツアーは終了。お昼休憩を挟んで、午後はいよいよ、工場内の緑地の見学です。

生き物たちが住みやすい池「ビオトープ」

工場緑地内にある約30㎡の水辺ビオトープで、生き物観察などのフィールドワークを行いました。

「みんなの遊んでいる池と違うところはあるかな?」「なにか見つけたら教えて」と、学生が子どもたちに問いかけ、クイズなども交えて一緒に考えながら観察します。生き物たちが水浴びをしたり、トンボが卵を産んだり…。この池は、人間のためではなく、動物や鳥、魚や昆虫のために整えられた憩いの池。子どもたちには実際に、土や草木に触れながらビオトープを体験してもらいました。

ミナミメダカ(絶滅危惧Ⅱ類)


珍しいミナミメダカもいました。ビオトープを造成した2021年に、お隣の愛知製鋼株式会社から15匹を譲り受け、大切に増やしてきました。健全な遺伝子保全の観点から近親交配を緩和するため、今年6月に、再び愛知製鋼さんとミナミメダカ40匹程度の交換会を実施。たくさんのミナミメダカは子どもたちに大人気でした。

なにが捕れたかな?
写真右側がフジバカマ。2021年に東海市からフジバカマ(原種)100株が寄贈され、工場内の緑地に植栽。見ごろは花が咲く8月~9月で、それを過ぎると冬越しの準備に入ります。

アサギマダラという綺麗な蝶を呼ぶために、フジバカマという花も植えています。アサギマダラは、渡り鳥のように、何千キロも旅をする蝶と言われ、フジバカマを好んで訪れるようです。実際にこの付近で「アサギマダラを見た!」という社員の証言もあるとのこと。大人気漫画に出てくる登場人物のキャラクターモチーフになっているとも言われているようです(鬼と戦うあの超人気作品です)。神秘的な魅力を持つ美しい蝶に出会えないかと子どもたちもキョロキョロと探していました。

大人も子どももアーティスト。ネイチャークラフトで作品づくり

イベント最後のプログラムは、緑地で集めた葉っぱや木の枝、どんぐりなど自然の素材を使ったネイチャークラフトです。子どもたちが、自分で好きな素材を組み合わせて作品を作ります。

創作活動に集中する子どもたち。大人たちが寄り添いながら創作活動を楽しみました。

子どもたちが一人ではできない接着の作業は、実行委員の学生たちが手助け。木の破片や断面のデコボコ、木の枝の自然な歪みでうまく素材がくっつかないことも…。子どもたちが一生懸命に自分の作りたいイメージを伝えてくれるので、学生たちも知恵を絞っていました。


この作品は“パリ―フタマタクワガタ”なのだとか。学生たちに手伝ってもらい、自分の席まで大切に運びます。

たくさんの個性的なアート作品が出来上がりました。最後に作品を手に記念撮影。イベントは無事に終了しました。

地域に親しまれ、交流が生まれる場所をつくる

「この『Love! Green Day』は、近隣地域の小学校などで告知して参加者を募ると、毎年すぐに定員に達してしまうという人気イベントです。ほかにもいくつか類似のイベントは開催しているので、一年を通してたくさんの方にビオトープにお越しいただいています」と語るのは、総務課の村松さん。

人気イベントというだけあって、参加者の事後アンケートでは「今後もこうした取り組みに参加したいか?」の回答は「参加したい」がなんと100%。「今年ようやく参加できた!」というコメントもありました。「普段は見ることができないので、とても勉強になった」「グリーンベルトという言葉をはじめて知った」「今後も家族と参加したい」「運営側にも興味がわいた」などなど、さまざまなコメントをいただきました。

イベント前に最終チェック。参加者に楽しんでもらえるよう、直前まで準備をしていました。

東レ東海工場は、2019年に「命をつなぐPROJECT」に加入しました。名古屋で2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)から10年経過の節目を前に、さまざまな啓発イベントが開催されていたことも、大きなきっかけになったとのこと。そこからたくさんの方と交流が生まれ、人脈ができ、情報交換を行っています。それらのすべてが東海工場の水辺ビオトープ造成に繋がっています。

水辺ビオトープは、専門家や学生のみなさんと一緒に作り上げた場所。設計に関しては、「命をつなぐPROJECT」学生実行委員会のメンバーのアイデアが多数反映されており、現在も定期的に、学生主体のモニタリング調査を実施しています。この日のイベントも、学生たちは運営や子どもたちのサポート役だけでなく、自分たちも一緒にイベントを楽しんでいる姿がとても印象的でした。

自然共生活動を軸に、地域社会の盛り上げ役に

東レ東海工場は、あいち生物多様性企業認証制度の認証を受けているほか、公益財団法人 都市緑化機構が運営するSEGES「そだてる緑」部門において「Excellent Stage2」の認定を取得するなど、社外認証制度の水準を活動の指針としています。

現在は、3年計画で樹木調査の真っ最中。緑地の価値の可視化に取り組んでいます。12月3日に開催された愛知県環境局主催のイベント、「企業の生物多様性保全活動を学ぶ」体験バスツアーにも協力しました。これまで培ったネットワークを生かし、さらに仲間を増やし、活動の輪を広げ、繋いでいく。東海工場の挑戦はまだまだ続きます!


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