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東レの“人格”を映す2つの映像作品が映画祭でグランプリ受賞&ノミネート!「東レ ブランドムービー上映会」イベントレポート

東レは、来たる2026年の創業100周年に向けて、さまざまな新しいコミュニケーション活動に取り組んでいます。

これまでも東レは、お客さま、お取引先さま、株主・投資家のみなさま、社員、地域社会、マスメディアなど、すべてのステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションは企業活動の基盤と考え、ステークホルダーに合わせたコミュニケーション機会の創出に取り組んできました。

ここ数年は、社内外への情報発信やコミュニケーションの活性化を図り、以前noteでもご紹介した東レ社員フォーラムをはじめ、企業ブランディングを目的とした新しいコミュニケーションに力を入れています。今回は、映像作品を通じて東レの企業理念や働く人たちの想いを紐解く“ブランドムービー”2作品と、その上映イベントの様子をご紹介します。


企業ブランディングの新たな形、ストーリー溢れるブランドムービーを制作

2024年9月13日、東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスで行われた本イベントには、社内外から100名近くが来場。さらに、東レが社内コミュニケーション施策として昨年から行っている動画ライブ配信、「リアルトーク」の特別版としても全国の社員に向けて同時配信され、総勢400名超が見守る中、イベントが始まりました。

当日の司会進行を務めた、東レマーケティング部門ブランドコミュニケーション室の岡村絵梨(右)と、総務・コミュニケーション部門コーポレートコミュニケーション企画推進グループの南隆之(左)

まず前半は、東レが制作した『STRAIGHT PATH《ストレートパス》』と『白無垢』という、趣の異なる2つのショートムービーを上映。いずれも同社で働く社員から寄せられた実話に基づいてつくられたストーリーです。

世界中から747もの作品がエントリーするBRANDED SHORTS ナショナル部門で見事グランプリを受賞した『STRAIGHT PATHストレートパス』(監督:山中有)。
授賞式登壇者/SHORTSHORTS代表 別所哲也氏、審査員の皆様、山中有監督、マウントメルビル株式会社 山脇 愛理氏、東レ株式会社 鈴木太樹

両作品は企業や自治体がブランディングを目的として制作するショートムービー(ブランデッドムービー)を発表する場である『ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2024』の〈BRANDED SHORTS ナショナル部門〉』にノミネートされました。

●『STRAIGHT PATH』(監督:山中 有)

【STORY】戦争が終わったばかりの南ベトナム。9歳のベトナム人少年・トリは、物事が予定通りに進むこと、きちんとしていること、目標にまっすぐ向かっていることが好きだった。アメリカに移り住んで驚いたのは、蛇口をひねっただけで、きれいな水が出てきたこと。少年トリは、持ち前の「目標に向かって、一歩一歩まっすぐ進む」という強い意志により、大きな成功に向かって、力強く生き抜いていく。
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2024 BRANDED SHORTS ナショナル部門グランプリ受賞作品。

●『白無垢』(監督:サトウケイシロウ)

【STORY】日本の伝統的な婚礼衣装、「白無垢」。一生に一度は白無垢に袖を通したいという花嫁の想いから、ペットボトルから白無垢をつくる挑戦が始まる。ペットボトルは素敵なものに生まれ変わる可能性を持っていること、その裏にはさまざまな方の想いや努力があること。ペットボトルを捨てるときの意識が少しでも変わっていただけますように。
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2024 BRANDED SHORTS ナショナル部門ノミネート作品。

働く人の人生観や想いにフィーチャー

『STRAIGHT PATH』のストーリーのモデルとなったトリ・フエン氏。イベント参加者に向けたビデオメッセージでは、撮影時の思い出やスタッフらへの感謝の気持ちを語ってくれた。


ナショナル部門でグランプリに輝いた『STRAIGHT PATH』は、東レのグループ企業であるTORAY MEMBRANE USA, INC.のCEO、トリ・フエンの半生を描いた全編英語のヒューマンサクセスストーリー

ベトナムで過ごした子ども時代、毎日川で水を汲むのが日課だったトリは、戦争後に難民となり、一家で逃れたアメリカでは、蛇口をひねるだけできれいな水が出ることに衝撃を受けます。こうした経験が、のちに先端技術を駆使して水処理開発を行う同社のエンジニア、そしてCEOとなり、仲間と共に世界中の人がきれいで安全な水を飲むことができる社会を目指す道へとつながっていきます。

ときにユーモラスな演出を交えたストーリー性の高い本作は、その根底にある、世界の水不足解決に挑戦し続けるという東レのメッセージもしっかりと伝わってくる1本です。

『白無垢』のエピソードの発端者であり、作品にも出演した東レ長繊維部の川原悠氏
作品中で美しい花嫁姿を見せてくれた関口愛理氏


一方の『白無垢』は、使用済みペットボトルから生まれる東レの新しいリサイクル繊維「&+®︎」(アンドプラス)を題材にした、ドキュメンタリー形式の作品

東レ長繊維部門に在籍する川原悠のエピソードを元につくられています。川原にとって同期入社の同志であり、現在は育児に奮闘する関口愛理に白無垢をつくってあげたいという想いを形にしたもの。

約8分間の短い作品ながら、原料のペットボトルがふっくらと美しい白無垢に仕立てられるまでに、どんな工程をたどり、そこに関わるたくさんの人たちの技術や工夫でバトンがつながれていく様子が描かれています。

ペットボトルをきれいに洗って分別するという日常のアクションが、誰かのとびきりの笑顔につながっていることを実感できる作品です。

制作陣と審査員が語り合うスペシャルトークセッション

イベント後半は、スペシャルゲストを招いたトークセッションも行われました。登壇したのは、東レ代表取締役社長の大矢光雄、『STRAIGHT PATH』監督の山中有さん、同作のプロデューサーを務めたマウントメルビル株式会社の山脇愛理さん、BRANDED SHORTS2024の審査委員長を務めたクリエイティブディレクターの高崎卓馬さん。東レの鈴木太樹が進行役となり、2つの作品の感想や制作秘話が語られました。

鈴木:今、会場のみなさんと共に作品を観ましたが、あらためて大矢さんが個人的に感動したポイントや、山中さんからは制作過程のエピソードなどをお聞かせください。

東レ株式会社代表取締役社長、大矢光雄


大矢社長:2本の作品ともに、我々の、先端材料で社会の課題を解決するという企業理念を見事に表現していただいた素晴らしい作品でした。特に感動したのは、東レの「人」がフォーカスされていたこと。トリさんや川原さんのように、会社という舞台で自分の夢ややりたいことを積極果敢に挑戦し、達成感やワクワク感を手にする姿が見事に描かれていました。

山中有(映画監督・映像作家、『STRAIGHT PATH』監督)
大学、映画学校を経て、東京にてキャリアをスタートさせる。シグマやユニクロなど企業のブランドムービーのほか、TVCM、NHKのドキュメンタリー、自身の短編映画など数多くの映像作品を手掛ける。海外の短編映画祭でも受賞するなど、国内外で活躍する映像作家。


山中さん:もともとこのお話をいただいたときから、人にフォーカスするという軸はありました。東レさんがどういう会社なのかを自分なりに研究する中で、ホームページの「東レ理念」企業文化の中にある「企業の盛衰は人が制し、人こそが企業の未来を拓く」という一文など、それ以外にも随所に「人」という言葉が多いのが印象に残っていたので、これを表現するべきだなと。

トークセッションのモデレーターを務めた、東レ株式会社マーケティング部門ブランドコミュニケ―ション室長の鈴木太樹。ブランドフィルムのほか、サニブラウンアブデルハキーム選手とのグローバルパートナーシップ、有明アーバンスポーツパークとの共創など、BtoB企業として新しいブランディングアプローチを手掛ける。

鈴木:「人」を描くとなったときに、私の中では監督に山中さん、プロデューサーに山脇さんという座組しかいないなと思って熱烈にオファーさせていただきました。山脇さん、『STRAIGHT PATH』の制作秘話があれば教えてください。

山脇愛理(マウントメルビル株式会社 映像プロデューサー『STRAIGHT PATH』制作プロデューサー)
現在、東京を拠点に活動するプロデューサー。南アフリカとイギリスで育ち、キャリアはアフリカでスタート。近年は、放送からオンデマンドメディアまでさまざまなメディアプラットフォーム向けに、ショートフィルム、ミュージックビデオ、コマーシャル、ドキュメンタリーを制作している。ウィレム・デフォーがナレーションを務めたドキュメンタリー『Finding Satoshi』は、国際的な賞を多数受賞した。

山脇さん:撮影で一番大変だったのはベトナム時代のシーン。夜の森をトリさんやお父さんが逃げるあの場所を探すにあたって、森に入るたびにスタッフ全員体じゅうが蟻だらけになって、噛まれてしまうという…(笑)。それを繰り返して、あのシーンが実現しました。

そして、今回の作品のキーポイントだったのは、グローバルに通じるコンテンツをつくるということ。我々が得意とするのは、日本語に訳したものではなく、ネイティブの感性で感動を与えられるもの。山中監督ならではのニュアンスやおもしろさを失わずに、どうグローバルな作品に落とし込めるか。イギリス人のライターを入れて、監督の監修のもとで英語の脚本に書き直しました。そうした時間がかかる作業にも、東レさんに気長にお付き合いいただけたのはありがたかったです。今回、グローバルに感動を与えられたのはそこが結構大きいのかなと思います。

「観終わったあと、東レを好きになる」。高評価を得たポイントとは?

高崎卓馬(電通グループ グロースオフィサー/エグゼクティブクリエーティブ・ディレクター/BRANDED SHORTS 2024審査委員長)
3度目のクリエイター・オブ・ザ・イヤー受賞をはじめ、国内外での受賞多数。著書に『表現の技術』(中央公文庫)、小説『オートリバース』(中央公論新社)、絵本『まっくろ』(講談社)など。J-WAVE「BITS&BOBS TOKYO」でMCを担当。共同脚本・プロデュースで参加した映画『PERFECT DAYS』は、2023年のカンヌ国際映画祭で、役所広司さんが最優秀男優賞を受賞。

続いて、BRANDED SHORTS2024の審査委員長を務めた高崎さんが、ご自身を含めた審査員陣が東レの作品をどう評価したのか、裏側を語ってくれました。

高崎さん:まず、BRANDED SHORTSを含めた企業のコマーシャルは、カメラの“後ろ側”を見せるものなんですね。そこにはもちろん監督がいて、制作の皆さんがいる。今皆さんのお話をうかがっていて再確認したのは、作品で自分を表現する人じゃなく、東レさんをどう表現するかを考え抜いた人たちがつくったんだなということ。どちらの作品もカメラの後ろに、東レさんという企業の人格が映っていますよね。

僕だけじゃなく、審査員全員が見終わったあと、東レさんのことを好きになっていたんですよね。それがやはり一番大きな評価のポイントだったのかなと思いますね。アプローチが全然違いますが2本ともそう感じました。東レさんっていい会社なんだなと(笑)。

あと、こういうお披露目の場があるということにもじわっと感動しています。僕たち映像をつくる人間って、つくったあと、こうやって社長さんや会社の方々と一緒にみる機会ってなかなかないんですよね。一つの映像をたくさんの目で見るっていうのは、ものすごく大事なこと。今日、またちょっと東レさんを好きになりました。

まだまだ僕らが知らない事業領域はあるだろうし、一人一人、どんな人生も、どんな仕事も、絶対映画になると思うので、ぜひ今後も映像作品づくりを続けてほしいなと思っています。

山中さん:今回の企画は、東レさんの数千人、グループ会社を含めると数万人の社員の方々がいる中で、水処理膜事業を担っているサンディエゴのTORAY MEMBRANE USA社に的を絞るところから始まりました。みなさんにアンケートを取らせてもらって、集まった65人のエピソードは、山脇さんと一緒にすべて読みました。

その結果、最後にトリさんの半生を描くことになりました。なので、ものすごく時間がかかったんですが、本当にたくさんの人生がありました。まさに、東レさんを好きになってもらえるような話がいっぱいあるので、また機会をいただければ世に伝える作品をつくりたいですね。


山脇さん:私も今回ご一緒させていただいて、東レさんが手がける領域があまりにも幅広いことに驚きました。アパレルの素材からテニスラケット…宇宙まで!仕事仲間たちとは「東レさんがいなくなったら地球が止まるね」なんて話をしていました(笑)。まだまだ興味深い人や事例がたくさんあるので、もっともっとお話を聞いてみたいです。

BtoB企業と使い手の接点をつくるコミュニケーションのあり方

『白無垢』を監督したサトウケイシロウさん。

トークセッションが盛り上がる中、会場には『白無垢』を監督したサトウケイシロウさんも駆けつけてくれました。

サトウさん:東レさんには素晴らしい技術があって、映像のなかでそれをどうやって見てもらうかをすごく意識しました。ただ、企業が発信する映像として自分たちの技術が一番前にくるのは、良くないんじゃないかと。それよりも、その技術を使ってどこかの誰かがちょっと幸せになったり、いい経験をしたりしていることに焦点を当てることを意識しました。

あとは、カメラの前に立つことがない方たちに出演してもらったので、時間をかけて、空間をつくったり、コミュニケーションしたりというのはすごく意識して制作に臨みましたね。

鈴木:広告のプロフェッショナルである高崎さんにお聞きしたいのですが、BtoB企業である我々東レは、自分たちのことを世の中に紹介していくことに難しさを感じています。今回のブランドムービーという試みをはじめ、今後どういったアプローチが必要だと思いますか。

高崎さん:接点が少ないところをどう越えるか、というところがポイントだと思います。単純に事業を紹介するだけが接点になるわけじゃないので、今回の映像作品のように、その仕事がどういうエモーショナルな気持ちを生んでいるのか、それがどうやって社会や一人ひとりの生き方にプラスをくれるのか。直接関係なさそうなものでも、どこかで自分と関係がある、誰かがどこかで幸せにしていそうな気がするというのを、どうやって伝えるかということですね。

大矢社長:伝えたい相手がどう思うかというのは、「先端素材で社会課題を解決する」という指針を掲げる当社にとってとても重要な視点です。我々は社会課題と、その周囲にはどんな人の想いや困りごとがあるのかということに、より目を向けていくべきだと改めて感じました。

今回の映像作品のように地道に接点を増やす発信をしていくこと、それとあわせてBtoBの素材メーカーだからこそBtoCの会社と共創して、グローバルに伝えていく仕掛けが必要なのだと感じましたね。

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映像を通じたコミュニケーションのさらなる可能性を実感した本イベント。イベント終了後、ゲスト登壇者を交えて行われた懇談会もおおいに盛り上がりました。

今後、新たな映像作品も企画中とのことなので、皆さん乞うご期待です!

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