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琵琶湖湖畔から世界へ!東レ誕生の地、東レ滋賀事業場

国内に13の生産拠点を有する東レ。広い敷地を擁する事業場・工場は、地域社会の理解と協力を得て企業活動をおこない、地域社会とともに発展してきました。そんな各事業場・工場の魅力や働く人々、地域について紹介する連載企画「今日も工場は」。

第1回目は、東レ誕生の地である「東レ滋賀事業場」。日本最大の湖、琵琶湖をのぞむ滋賀県大津市石山に位置し、その規模は東レグループ最大級。複合事業場として重要な役割を担うこの地を知り尽くした滋賀・事務部の田中秀平と中島真由美が、「周辺地域(石山寺)」「東レの歴史・現在・未来」「企業スポーツ」をキーポイントにご紹介します。


東レ誕生の地。滋賀県大津市「東レ滋賀事業場」

会社創立の翌年1927年に、レーヨン糸の生産工場として操業を開始した東レ滋賀事業場。現在の敷地面積は、なんと約84万㎡で甲子園球場の約22個分にあたります。この広大な敷地には東レだけでなく、多数の関係会社・協力会社も拠点を置いています。

「JR京都駅から事業場最寄りのJR石山駅までは新快速で13分。京都・大阪方面からのアクセスも良い場所です。
東レのほぼすべての事業分野の生産だけでなく、東レグループの研究・技術開発の主要拠点にもなっているので、東レグループ社員の往来がとても多いです」(田中)

田中秀平/2022年入社。事務部 労務課に所属し、従業員が安心・安全に働ける職場環境づくりや採用活動などを担う。滋賀事業場内の駅伝大会に出場したり、ハロウィンパーティーでは司会を勤めたりもするムードメーカー。

中島真由美/東レアローズ女子バレーボール部事務局スタッフを経て2016年より滋賀事業場事務部勤務。自身も滋賀県出身。東レグループ社内報「ぴいぷる」の滋賀・通信員として、社内イベントや記念行事ではカメラを片手に飛び回っている。

滋賀事業場のご近所!石山寺

まずご紹介するのは、滋賀事業場の最寄り駅・JR石山駅から車で約10分の「大本山 石山寺」。創業以来100年近く地域に支えられてきた東レは、地域の歴史や文化とも深い関わりを持っています。

鎌倉時代に建立したといわれる、石山寺の正門。

「石山寺」は、奈良時代に聖武天皇の命により創建され、国宝の本堂・多宝塔を有する滋賀・大津を代表する寺院のひとつ。また、現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』にも登場する“紫式部・源氏物語ゆかりの寺”としても有名です。

境内の奥に広がる源氏苑の一角には、紫式部の銅像がある。

「平安時代には『石山詣』が盛んで、観音堂に参籠して一夜を過ごすことが流行ったそうです。紫式部もこの石山寺に参籠し、十五夜の名月を眺めたときに源氏物語の構想を思いついたとか。今でも紫式部が参籠した源氏の間が残っていますよ」(田中)

紫式部の銅像の近くにある「光堂」は鎌倉時代の伝統的建築技法である懸崖造りを復興した建物。

そして、ここ石山寺は、東レとも関係が深い場所でもあるのです。

「2008年に、東レの会社創立80周年記念事業の一つとして境内に物故者慰霊塔が建立されました。毎年、創立記念日(4月16日)行事として、代々の石山寺座主様を導師として物故者慰霊法要を行っているんです。」(田中)

光堂のとなりに建立の「物故者慰霊塔」。

自然豊かな敷地には、牡丹や梅、桜、水仙、紅葉など、四季折々の花が咲き誇ることから「花の寺」としても有名。その風景は地元の人はもちろん観光客など訪れる人の目を楽しませてくれます。

東レの歴史・素材を知るならここ!「東レ記念館」「イノベーションプラザ」

続いては、東レの歴史や素材が分かる「東レ記念館」「イノベーションプラザ」。滋賀事業場正門を入ってすぐの場所にあり、お客様やお取引先様などが見学に訪れます。「東レ記念館」は、1973年まで事務所として使用していた建物を2016年にリニューアル。創業からの功績や製品、技術開発の歴史を展示した施設です。

「入口には、当時の正門と看板が飾られています。今は近代的でシンプルな門ですが、当時の門も趣があって素敵です」(田中)

「製品・技術展示室」に入るとすぐ東レの長い歴史を記した年表が目に飛び込んできます。

「歴代の社長と、東レの軌跡がまとめられています。レーヨン糸の生産から始まり、時代とともに研究・開発してきた素材や技術の変遷がわかりますね」(中島)

奥に進むと、実際に開発してきた素材が展示されたスペースがあります。

「繊維のメーカーということでボビンをモチーフにした展示台です。これも年表になっていて、これまで開発した素材を実際に見て触ることができます」(田中)

「1970年に開発されたスエード調人工皮革で作られたコートも展示されています。これも滋賀で生産を開始した素材で、現在も『Ultrasuede』として世界でも注目されている素材。当時のものを見ても本物のスエードのようですよね」(田中)

「創業原点展示室」では、創業から戦後復興を経て成長を遂げてきたあゆみを記録した貴重な資料を展示。

「当時の資料がしっかり残されているのはかなり貴重だと思います。なかには創業者が創業前に情報収集していたネタ帳まで。新しい会社が誕生するまでの歴史的な記録が残されています。これらの資料は東レ記念館がリニューアルするまでは三島の研修センターに保管されていました。

なかでも特に重要な書類は、戦時中は先にご紹介した石山寺に預けられていたそうです。そのおかげで貴重な資料の焼失を免れ、良い状態で残っているんですね」(田中)

当時の写真や資料から、約100年という歴史が作り出してきたさまざまなストーリーが浮かび上がってくるようです。

「東レ記念館」の隣に建つ展示スペース「イノベーションプラザ」。創業時からの繊維に加えて、樹脂やケミカル、フィルム、そして炭素繊維複合材料や電子情報材料、医薬・医療、水処理・環境といった幅広い分野で多くの新素材を生み出してきた東レ。

「ここでは、東レの技術や製品を紹介しています。長年素材メーカーとして開発してきた素材を実際に見ることができます。ヒートテックをはじめ、スポーツウェアや自動車材料、医療機器など意外なところで東レの素材が使われているんです」(中島)

テニスラケットや釣り竿、ゴルフシャフトにも、炭素繊維を使用した製品がある。

「ここは小学生や大学生などの見学も受け入れていますが、みなさん東レの素材が身近に目にするものの一部に使われていることを知って驚いてくれます。触って体験できるものもあるので、『こんなに軽いんだ』『不思議な触り心地!』と驚く方も多いです」(中島)

【施設紹介動画】

*現在、一般の見学は受け付けておりません。

東レの未来を担う研究者たちが集う場所「未来創造研究センター」

次にご紹介するのは東レの新たな研究拠点として2019年に完成した「未来創造研究センター」です。未来創造型研究の中枢として、革新材料、デバイス、システムのアイデアを創出する「融合研究棟」と、そのアイデアを基に試作、評価、実証を推進する「実証研究棟」の2棟で構成されています。グローバル研究のヘッドクォーターとしての機能拡充も担っています。

繊維研究所、フィルム研究所、電子情報材料研究所、地球環境研究所、先端材料研究所の5つの研究所がさまざまな部署と連携し「協創」をモットーに先端材料の創出に取り組んでいる。

「先端材料の研究・技術開発を行う場であり、国際会議場やオープンラボなどを設置することでイノベーション・ハブ機能を併せ持った場所でもあります。多くの研究者が在籍し、日々研究に励んでいます。ここから世界を変える新しい新素材、新技術が生まれるかもしれない!?と思うとワクワクしますよね」(田中)

ここ「未来創造研究センター」内で活躍する若手研究者4名のインタビューをnoteでも近日公開予定です。お楽しみに!

【施設紹介動画】

「質実剛健」の精神を育むため東レが長年注力してきたスポーツ活動

「東レ滋賀ボート部」の選手たち。

滋賀事業場を語る上で欠かせないのが、東レが創業時より注力しているスポーツ活動です。

「滋賀事業場は、部活動が盛んであることも特徴です。全社強化運動部としては、東レアローズ女子バレーボール部、東レ滋賀ボート部をはじめ、柔道部や剣道部が活動していて、その他にもいろいろな部活動やサークルがあります。強豪チームや代表選手もたくさん輩出しているんですよ。お子さんや近隣の方々への教室を開催するなど地域の交流にもつながっています」(中島)

琵琶湖と淀川を結ぶ瀬田川。東レ滋賀ボート部をはじめ、近隣大学のボート部練習場となっている。

「関西出身の自分にとって、競技を始めた中学生の頃から東レ滋賀ボート部は憧れでした」と話すのは、チームを盛り上げるベテラン、岡田選手。現在部員は13名。社員として働く部員たちは、忙しい中でもほぼ毎日練習を行っています。

「日本代表選手も輩出してきた東レ滋賀ボート部は、1949年創部。長年、全国でもトップレベルなんです。本格的なボートシーズン到来に向けて、練習に励んでいるので応援よろしくお願いいたします!」(田中)

ボートに欠かせないオールには東レの炭素繊維が使われている。
東レ滋賀剣道部の三雲選手。2023年11月に開催された「第71回全日本剣道選手権大会」に滋賀県代表として出場しベスト8に入賞。東レの選手が滋賀県代表として出場しベスト8に入賞するのは実に55年ぶりの快挙です!
三雲選手は子供向け剣道教室のコーチにも携わり、少年少女剣士の育成にも貢献している。

週3回の地元の子供向けの剣道教室では、小学生を中心に約10名の子供たちが練習に励んでおり、2023年には全国道場少年剣道大会の滋賀県予選を18年ぶりに突破。全国大会への出場を達成しています。「礼儀を磨きたい」「剣道を楽しみ、強くなりたい」という方は、ぜひ東レ明道館剣道教室へ!

女子バレーボール部や柔道部も注目のチーム。東レアローズ女子バレーボール部は2000年7月に活動停止した名門「ユニチカフェニックスバレーボール部」の全体移籍を受けて「東レアローズ」として再スタート。言わずと知れた、日本バレーボール界を代表するチームです。

「私はもともと東レアローズの事務局として勤務していたので、個人的にも応援しているチームのひとつです。これからも国内リーグを引っ張っていき、地域に愛されるチームとして頑張ってほしいです」(中島)

工場設立当時より「人を育てるのが使命」という考え方を大切にしてきた東レでは、すべての従業員に対して「質実剛健」「勤倹力行」の精神を育むことに重きをおいてきました。その一環として始まったスポーツ活動。現在もその思いはしっかりと引き継がれています。

今後noteでも東レグループのスポーツ活動を紹介していく予定です。お楽しみに!

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最後に、2人から見た滋賀事業場の魅力を聞いてみました。

「滋賀事業場では、関係会社、協力会社、東レ本体も合わせて約4,000人が働いています。人が多く、事業の幅が広いことは、ここの魅力のひとつです。研究も技術も生産も全部揃っているので、それだけさまざまな分野の人がいます。私はこの春で入社3年目になりますが、出会う人の幅も段違いに広くておもしろいですね。そして何よりここは、東レの研究・生産の中心。その誇りはありますし、やりがいを感じています。駅伝大会やハロウィンパーティーなど事業場でのイベントも多いんです。また、コロナ禍で休止していましたが、地域の方々を招いたイベントなども再開されるようです。地域との関わりも大切にしているところも魅力ですね」(田中)

「人が多い分、さまざまな考えを持った人たちがいて多様性があるのは楽しいです。人と人とのつながりが深く、異動してもここでできた人脈はずっとつながっています。あとはスポーツに力を入れているのも滋賀事業場ならでは。日々の練習と仕事を両立している選手たちを応援し、みんなで温かく見守っているところが滋賀事業場の魅力だと思っています。また、ここで開発された繊維を使ってユニフォームを作ったり、炭素繊維がバレーボールの支柱に使われたりと、事業と部活動がつながっているというのも良いですよね」(中島)

東レ滋賀事業場DATA

【所在地】滋賀県大津市園山1-1-1
【設立】1926年4月(滋賀県より工場設置認可取得)
【敷地面積】約84万㎡
【主要生産品】<繊維>スエード調人工皮革“ウルトラスエード”、ポリエステル⾧繊維不織布“アクスター”<樹脂・ケミカル>ポリオレフィンフォーム“トーレペフ”<電子情報機材>実装材料、エレクトロコーティング剤、感光性機能材料“レイブリッド”、セラミックス“トレセラム”、有機EL発光材料、<水処理・環境>家庭用浄水器“トレビーノ”<医薬・医療>コンタクトレンズ“ブレスオー”、“プレリーナ”<複合材料>燃料電池用電極基材

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